東京のど真ん中でも
朝には鳥のさえずりが
夜には秋の虫の音が聞こえる。
日中は暑くとも
秋が静かに近づいてきている様子がほら。
落ち葉に紛れて
そこここに横たわる蝉の死骸たち。
７日間の命を燃やし尽くすように生き
きっと恋をして新しい命に運命を託したんだろう。
いつの間にか
空は高くなっていて、
自然は人間のやることなど
関心がないように粛々と季節を巡らせている。
片や人間はああでもないこうでもないと
悶えながら
「霊性」を磨こうと工夫を凝らしてみたり
「宇宙意識」と交信しようと試みてみたり
「神聖」であろうと務めてみたり
日々大忙しであるが
「その日」が来れば全て等しく自然の輪に還ってゆく。
私がせっせと買い込んだ本もただのゴミに。
私の紡いだ言葉たちも何処かへと霧散し
骸は灰となってただただ自然に還るのみ。
嗚呼、人間は「死」を恐れて
自然に抵抗しているのかもしれない。
多くを欲し
強欲に独占したがるのは
失うことを恐れているから。
でも例え奪ってまで人より多く手に入れたとしても
「死」の瞬間に全ては他者のものになる。
今の世の狂気じみたトンチンカンは
自分も自然の一部であると言うことを否定したことから始まっているのかもしれない。
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